
こんにちは、猟犬日誌の中谷です
前回(令和2年度)に宇陀市が実施した
「宇陀市狩猟者育成プログラム」
プログラムを終え、その後宇陀市に移住し
現在は地域おこし協力隊として鳥獣対策専門の業務に取り組んでいる2名を取材して来ました
※前回の記事はコチラ
最後に2年ぶりの募集となる本プログラムの告知についても記載してますので、将来的に狩猟を生業としたい、と考えている方は是非最後まで読んで頂ければと思います
こんにちは、宇陀市の地域おこし協力隊として2021年に着任した玉城正則です
「令和2年度宇陀市狩猟者育成プログラム」に参加して
狩猟技術の他、地域での鳥獣対策を専門としたノウハウを学ばせて頂きました
私も同じくプログラムに参加し、宇陀市の地域おこし協力隊として2021年に着任した清末信幾です
今回は宇陀市の獣害対策を業務としている私たちの仕事やその流れなんかを紹介していけたらと思います

朝は市役所に他の職員さんと同じ時間帯に出勤します
前日退勤後に受けた鳥獣に関する業務報告や当日の段取りについて市役所の担当者さんと打ち合わせを行い、その後に鹿や猪の駆除用に仕掛けた罠の見回りに向かいます

別々に業務を行ってるのではなく、2人で行ってるんですね
鹿や猪を捕獲するという業務は、人気のない山中で行うことが多く、事故やケガが起きることを想定して必ず2人で行うようにしています、市民の方の安全を守るということも大事なのですが、自身の身の安全も同じくらい大切なことなので

捕獲した後も一人で搬出するのは大変だし
二人で行うことで業務に関する経験知もシェアできますしね

ということで取材当日に鹿が捕獲されているとの連絡があり
現場まで同行させていただきました

斜面で傾斜が厳しく近づくのも難しいし、これは止め刺し作業をするのは結構大変かも・・・
こういった現場での捕獲や止め刺しは就任後に100件くらいやって来たのでそう難しい現場ではありませんよ!

動きが完全にベテラン猟師のそれですね笑
宇陀市は鹿の生息数が多いのと、就任前からプログラムを通じて捕獲技術を叩き込まれ月間数十頭ペースで鹿を現場で処理してきましたからね
色々な鳥獣に関する研修に参加してきましたが、ここまで即戦力になれるプログラムはなかなか存在しないと思いますよ

朝イチからこの作業量は普通のサラリーマンに比べてちょっと大変ですよね、内容が内容だけに・・・
何言ってるんですか中谷さん、この後またすぐ鹿の回収業務ですよ

今回は地元の猟師さんが駆除で捕獲した個体を回収します
私達の仕事は鹿の駆除だけでなく、地元の猟師さんが捕獲した個体を回収し、処理施設で食肉用として活用するところまでやってるんですよ

捕獲した後の処理って大変ですもんね・・・
こういった行政のサポートは猟師にとってどうなんですか?
すごく助かってますよ!
畑に入る鹿を捕ってやろうと罠をかけて捕獲するまではいいのですが、仕事で忙しくてその鹿を捌いたり、またその残滓を処理したりって中々難しいんですよね
捕獲を証明する写真を撮ったら玉城さんと清末さんが取りに来てくれて、その個体も食肉として活用されているので、気兼ねなく罠を仕掛けることができます
何より高齢化している有害捕獲従事者で同世代の仲間ができたことが嬉しいですね!

ただ駆除するだけでなく、その後の流通までしっかりと仕組み作りされてるんですね
私達が日々駆除している有害獣は、確かに農業被害や車との接触事故の原因となったりやっかいな動物なのですが、彼らも人に迷惑をかけたくて生きている訳ではありません、美味しく頂くことができるように丁寧に解体し、美味しい食材として消費者の皆さんにお届けすることも自分達の仕事の一つだと考えています
私達が製造したジビエブロック肉や各種加工品になどは小売に関しては株式会社TSJさんが運営する千葉県君津市にある猟師工房ランドにて販売されており、沢山の方々に消費頂いています。又、卸売りに関しては株式会社猟協流通さんを通じて関東方面を中心に大手企業様や多くの飲食事業者様にご利用頂いています


こうやって午前中に罠の見回りや捕獲連絡を頂いての個体回収を終えたら処理施設で食肉に加工し、その後罠の再設置や獣害の通報があったら市民のお宅へ向かい、対策業務を行ったりしています

こちらは宇陀市内にある市民のお庭です
アライグマが住み着いてしまって困ってるとの連絡を受け即座に出動し罠を設置しに来ました

やはり専門の人材が常時動けるって、住民からすると心強いですよね、田舎だと人材不足なので猟師の所まで依頼が来るのって結構遅れてからってケースが多いと思いますが・・・

玉城さんと清末さんが就任される以前は、市役所に相談や連絡をしても対応してくれるまでに時間がかかってましたが、獣害対策専門の方が2名も来られて、本当に助かっています
ただ個体の駆除をするだけでなく、被害状況や目撃情報を共有させて頂くことで捕獲頭数も増えて、以前より獣害が軽減されたと実感しています

地元の方と普段からこうしてコミュニケーションを取り、
被害状況や鹿の目撃情報を貰うことで、業務の段取りやスケジュールを立てる上でとても助かっています、より生産性を上げる為にもやはり住民の方との連携は大事だなと感じてますし、私達が働きかけることで、獣害への対応意識が上がり住民の方々の就農意欲を維持することに繋がっていると信じています

就任後の当初は、やはりどこか余所者として警戒されているな、と感じることもありましたが、仕事に打ち込んでいる姿を見てもらって、少しづつ信頼され、気軽に声をかけてもらえたり、鹿を捕獲した旨を知らせると農家さんからは笑顔で感謝してくれるようになって、今それがモチベーションになっていますね

地域おこし協力隊として就任した二人ですが
自治体にとってどんな効果がありましたか?
これまでの獣害対策はほぼ私一人で担当していましたから
大変助かっていますね
複数の獣害通報を受けても、1日で対応できる件数には限りがあり、なかなか住民の満足する質のサービスは提供できていなかった様に思えます
玉城さんと清末さんが狩猟者育成プログラムに参加して頂き、プロの指導による技術や知識の習得だけでなく、宇陀市の暮らしにも興味を持ってもらい、移住してもらったことも大変嬉しいですし、鹿の捕獲頭数も就任前と比べてかなり増えてますから、今後もこういった若手の方を宇陀市はサポートして獣害を通じて地域の活性化を図っていきたいと考えています
今年は令和2年度では実施できなかったお隣の三重県名張市との共同開催となります。行政ですから財政状況等で確実なことは申し上げることができませんが、彼らの任期後を担う人材や、広域連携をしている名張市も「地域おこし協力隊」制度を活用した人材投与を検討しているそうすので、ぜひトライしていただけたらと思います

宇陀市が初めて取り組んだ「狩猟者育成プログラム」
移住者を生み出し地域の課題解決に繋がり、住民の満足度向上にもつながる施策として大きな効果があったということで、今年は
「令和4年度宇陀市/名張市狩猟者育成プログラム」
として参加者の募集を行うことになったそうです
これから狩猟を始めて、それを将来生業にしてみたいと考えてる方や、田舎暮らしを視野に人生設計されている方等是非この機会にご応募頂ければと思います
・野生鳥獣による農林業被害を防止する為
・被害対策の手法を新たな狩猟者に伝えることのできる人材を育成する為
・将来の捕獲の担い手となる人材を確保する為
- 【第一回 7月開催予定】狩猟免許取得対策講座
- 【第二回 7月開催予定】宇陀市における鳥獣管理の背景と調査・実践
- 【第三回 8月開催予定】鳥獣管理学(ニホンジカ・イノシシ)
- 【第四回 9月開催予定】鳥獣管理学(カワウ・カラス)
- 【第五回 10月開催予定】鳥獣管理学(サル)鳥獣管理行政と制度
- 【第六回 10月開催予定】実践講座オリエンテーション
- 【第七回 11月開催予定】狩猟技術実践講習会(流し猟・解体)
- 【第八回 12月開催予定】狩猟技術実践講習会(巻狩りと猟犬について)
- 【第九回 1月開催予定】狩猟技術実践講習会(わな猟)
- 【第十回 2月開催予定】狩猟ビジネス論 卒業式
受講地:奈良県宇陀市内
募集人数:1講座 定員10名(満18歳以上で普通自動車免許保有者に限ります)
受講料:1講座 3,000円(税込)(全回計27,000円)尚、毎回現金にてお支払いいただきますが、9講座分一括支払いの場合は25,000円に割引されます
受講参加希望の方はコチラのフォームからお申し込みください