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狩猟ニュース

【令和7年度】狩猟者育成プログラムの参加者募集を開始します

【令和7年度】狩猟者育成プログラムの参加者募集を開始します

こんにちは、猟犬日誌の中谷です

奈良県宇陀市/三重県名張市は、自然豊かな里山を抱える一方で、イノシシやシカなどの野生動物による鳥獣被害に長年悩まされてきました。農作物の食害だけでなく、交通事故や地域環境への影響も深刻です。

この問題に正面から向き合い、捕獲の担い手を育てる「狩猟者育成プログラム」やジビエ活用の新たな取り組みを進めている宇陀市と名張市。

今回は宇陀市農林課長兼オーガニックビレッジ推進室長の吉岡様(以下、吉岡課長)にこれまでの課題とこれからの展望についてお話を伺いました。
※前回の記事はコチラ
最後に本プログラムの告知についても記載してますので
是非最後まで読んで頂ければと思います

有害捕獲をやりたい
ジビエの生産に関する修行をしたい
ジビエ流通、生産の会社で働いてみたい
狩猟に関することで独立したい
  など

宇陀市農林課 吉岡課長

まずは宇陀市/名張市で深刻化している
鳥獣被害の実態について教えてください

イノシシは田畑を掘り返して作物を荒らすだけでなく、道路や法面を掘り返すことで崩壊のリスクを引き起こすケースもあります。

シカに関しては、米の苗を食べられたり、車との接触事故も多発していおり運転者の安全にも関わる問題が起きていました。

過疎化や高齢化によって里山の管理が難しくなり、野生動物が集落周辺に現れる機会が増えたことも、被害の拡大に拍車をかけていると考えています。

野生動物による農被害が年間約1000万円に上る

本格的に鳥獣被害対策に取り組む
きっかけは何だったのでしょうか?

収穫を目前に育てた農作物が台無しになる
――これは本当にやるせない出来事です。
被害が続くと「もう作っても無駄だ」と
耕作放棄される土地も出てきます。

このままでは農業が衰退してしまうという危機感から、
柵による防護だけでなく、捕獲を軸とした本格的な対策に乗り出しました。

狩猟者育成プログラムを始めた背景について教えてください

捕獲による対策を推進するには
まず狩猟免許を持つ人材が必要です。
ところが、地元の猟友会は高齢化が進み、
新たな担い手もなかなか増えませんでした。
そこで、外部に目を向けてSNSを通じた広報を行い、
興味を持ってくれた方を対象に「狩猟者育成プログラム」を通じて捕獲隊員の増加に繋げられたら良いのではと・・・
そんな経緯です

実際にどんな成果が出ていますか?


これまで数十名の方が受講し、本プログラムを経て
数名の方が宇陀市や名張市へ移住してくださいました。

なかには現在、宇陀ジビエファクトリー内で、解体や精肉のプロフェッショナルとして活躍されている方もいます。

このように学びから仕事、そして地域での暮らしへとつながる仕組みができてきていることに、大きな手応えを感じています。

宇陀ジビエファクトリーについて
どのような役割と期待を持っていますか?

この施設は、獣害対策の拠点であると同時に、捕獲した命を無駄にしない地域資源活用の場でもあります。

捕獲された鹿を処理し、学校給食で鹿肉コロッケを提供したところ、生徒たちにも「おいしい!」と大好評でした。

今後はさらに捕獲頭数を増やし、被害の抑制とともに、ジビエを通じた地域振興や新たな産業の創出にも取り組んでいきたいと考えています。

名張市猟友会 垣本会長

次に名張市猟友会の垣本会長にお話を伺いました
入会当時の名張市猟友会ってどんな様子だったんですか?

俺が一番若い猟師やったんやけど、
今もなかなか若いのが入ってこんでな
当時は30人くらい鉄砲猟師がおって、みんな可愛がって
くれたけど親方に仕える師弟制度が残ってたんや

若い猟師が続かない理由って、なんだと思いますか?

レジャーの多様化で面白い事沢山ある。
ユーチューブやら見て手軽な遊びな感じやと思うが実際は奥深い。山の地形やマチ場を覚えて獲物を獲れるようになると面白くなるんやけどそこに行きつくまでに意外と経費もかかるし、趣味に金はつきもんやけど中々そこまでしてやるもんはおらんでな

当時の貴重な話を聞く讃井くん

今の若い猟師、特に始めたての方に
伝えたいことはありますか?

先ず山を覚えること。そして獲れた獲物はムダにしない
肉処理は丁寧に、道具を大切に、そして先輩から可愛がってもらうことが大事やと思う

それでも続けてこられたのは
何か楽しみというか、秘訣みたいなものが・・・?

そうやなあ、狩猟は仲間で獲物を分け合って
楽しむもんやからな。私がほしい獲物は脂の乗った猪。
山を見切って寝屋を予想し犬をかける。
上手くいった時の喜びは大きい。
その後解体作業をして反省会をする。
そのホッとした一息は猟師冥利に尽きる。

取材中は珈琲を淹れてくれたり
鮎のから揚げを食べさせてくれたりと
もてなし上手の会長さんでした

次に、狩猟育成プログラムを受講し
名張市に地域おこし協力隊として
移住をしてきた讃井さんに話を伺ってきました

狩猟育成プログラム2期生の讃井さん

狩猟者育成プログラムを受ける
きっかけについて教えてください

僕はもともと建築施工管理の仕事をしてたのですが
仕事の現場が地方の山奥、ということもしばしばありまして、地域の農業被害や鳥獣問題が深刻化しているのを
目の当たりにし、『このままでは地域が衰退してしまうのでは』と感じていました。

そんな時に、ふと何気なく見ていたYouTubeの動画内で
狩猟者育成プログラムについての募集告知を目にし、
このプログラムの存在を知りました。
狩猟に興味はありもっと歳を取ってから始めようか、
と考えていてたのですが、研修内容を見て『今始めれば地域の未来を守るための重要な役割を担えるのでは』と感じ、
参加を決意しました。

プログラムを受ける前と後で
どのような変化がありましたか?

最初は全くの初心者でしたし、罠の設置や捕獲、解体処理の方法も全然分からず、最初は不安でいっぱいでしたが、
実際の現場で現役のベテラン猟師さん等から実践的な研修を受け鳥獣被害対策に必要な業務の経験をさせてもらったことで、『移住後もこの仕事で地域に貢献できる』という自信が持てるようになりました。

名張市でどんな活動をしていますか?

地域おこし協力隊としての任務は主に鹿の捕獲とその後の処理ををしています、その中でも捕獲した動物を無駄にせず、ジビエとして地域の特産品に活用することに注力しています。
これにより、農業被害の減少だけでなく、新たな地域の魅力としてのジビエを活用するという可能性も見えてきました。
地元の猟師の方々と協力し、獣害防止を進めるだけでなく、地域経済を支える役割も担えれば・・・と考えています。

狩猟者育成プログラムの魅力は何だと思いますか?

狩猟者育成プログラムの最大の魅力は、
“ただの技術教育”にとどまらず
“地域を支える人材を育てる”ところにあるのかなと。

例えば僕が育成プログラムを卒業して1年半ほど活動させていただいていますが、すでに500頭以上の鹿を解体・精肉させていただいたことで、レストランに商品を卸せるレベルにまで技術力が向上したと思います。

今まで捕獲後に埋設されていた個体の活用率が向上し、
地元のジビエが今も全国の消費者に届けられることで
その収益が地元の雇用にもつながっているのだと思います。

今後、狩猟者としてどのような目標を持っていますか?

今後は、捕獲活動を進めつつ、ジビエをもっと活用して地域の新たな産業として育てていきたいと思っています。

狩猟者として、捕獲技術の腕を磨くという目標もあるし
地域活性化にもっと貢献できるようにさらに成長していきたいと考えています。

今年も令和7年度宇陀市/名張市狩猟者育成プログラム
として参加者の募集を行います。

讃井さんをはじめ、多くのプログラム受講者が狩猟技術の会得・向上に繋がったと、大変好調な研修プログラムです。

狩猟を始めて、それを将来生業にしてみたいと考えてる方や、田舎暮らしを視野に人生設計されている方は
是非この機会にご応募頂ければと思います

狩猟者育成プログラムの目的とスケジュール

■参加資格条件
年齢18歳以上
※狩猟免許の有無は問いません。
※要普通自動車運転免許

■参加費:1講座あたり2,000円 
※6講座分一括支払いの場合は10,000円に割引されます
■会場:奈良県宇陀市内にて実施いたします
※参加者確定者へ別途個別に通知いたします

■申込締切期日:7月27日(金曜日)まで 
※応募が多数の場合は期間中にて締め切る場合もございます。

■募集定員:10名(専門的且つ、きめ細やかな指導のため少人数で実施します)
※毎年度多数の応募者がございますので
本申込内容で選考を実施させていただきます。
※参加可能者のみに8月5日までにメールにて通知いたします。

受講希望の方は下記のフォームより申込ください。

【注意事項】 応募後、選考を行い、受講対象者として適切と判断された方にのみ受講申込のご案内をお送りいたしますので、選考に通過されなかった方への個別の連絡は行いませんことを予めご了承ください。

こちらをクリック 講習申込フォーム

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